表の顔☆裏の顔

「「「いらっしゃいませ」」」


やっと来れた。


ん?
春?

やっと会えた。
でも、横の男はなんだ?
こないだもいた男じゃないのか?

イライラする。

春とすれ違う直前、春の腕を男が引っ張った。

「春に触るんじゃねぇーよ!!」
そう言いそうになったが、グッと堪えた。


イライラしながら席で春を待つ。

遅い。
あの男に捕まってるのか?
ネックレスもあの男から?
じゃあこないだのキスも?

あぁぁ!!
もうダメだ。
気が狂いそうだ。
いつもの冷静さを保てない。


笑顔で春が来た。
春の笑顔は好きだ。
だが、さっきの男が気になって素直に喜べない。
まぁいつも無表情だから気付かれないだろう。


ところが

「和哉さん?もしかして機嫌悪いんですか?」

ええぇ!?
こいつ俺の表情が分かるのか?
今まで俺の表情の変化に気付いたのは桂木だけだ。
その桂木ですら最近ようやくといった感じだ。


ただ、なぜ機嫌が悪いかはわかってないようだな。
そういえば、春の友達の夏実?という女が春は鈍感だと言ってたな。


はぁ〜。
仕方ない。
説明するか。

ついでにカマをかけてやった。

.....やっぱり。
あの男は春のことが好きなのか。
春はわかりやす過ぎる。
だが、春は?
春もあの男が好きなのか?


春からの言葉は((客))だと。
ホッとする。
同時に不安にもなる。

俺もか?
俺もただの客なのか?


考えを巡らせていると黒服がやって来た。
閉店時間。


......帰りたくない。
まだ一緒にいたい。


ギュッ。

思わす春の手を握っていた。
この後付き合ってくれと頼む。

「は、はい!」

春の返事と笑顔に安心する俺がいた。


今日気持ちを伝えよう。
もう限界だ。



和哉side 終わり
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