【短】真夏のmystery kiss*+.



話し終わると、

紫は妙に困惑した顔つきになった。


「でもさ、それってつまりさ、

遼太郎くん以外にも、あの時校舎にいた人で

夏愛のことを好きな人が他にいたってことだよね?」


私を好きな人、かどうかはわからないけど

他に私に、その……キス、した人がいるってことだよね。


「た、多分……」


私がそういうと

紫は考え込むように腕を組んだ。


少しの間、沈黙が続く。


朝からすでに校庭のセミがうるさく鳴いている。

昨日の状況に似ていて、

少しフラッシュバック。


「あの時、この教室に来た、誰か……」


2人ともその条件を満たす人なんて
まったく検討つかずに、

思考が行き止まる。


あの時のあれは、
やっぱ夢だったの……?


「そういえばさ」

紫が急に話し出したことで考えを中断する。


「今日遼太郎君と一緒に来るっていってなかったっけ?

私との待ち合わせで来ちゃってよかったの?」


そうだ、私紫に、

リョウに何て言われたか言ってないんだよね……。


< 23 / 65 >

この作品をシェア

pagetop