私と上司の秘密
私は、振り返り、ワタルとユキの方を見た。


二人は、立ち尽くして、悲しそうな目で、
こちらを見ていた。


「もう、気にしてないから…。」

私は、二人に告げた。


それ言うのが、私なりの精一杯の言葉だった。


私の背中の方で、

「ありがとう。
凛。」

と、ユキの声がした。


課長は、いきなり、

「ぶっさい顔。」

と私の頬を軽くつねってきた。


「痛いじゃないですか。」


本当は、痛いことはなかったが、頬を擦り、
痛いフリをしてみた。


「悪い、悪い。」

と言って、課長は、謝ってきたが、その顔は、笑顔だった。


私も課長の笑顔につられて、思わず、笑って
しまった。


すると、課長は、何も言う訳ではなく、
私の頭を『くしゃくしゃ』と、思いきり
撫でた。


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