襲撃プロポーズ【短編集】

暴れ馬の王子様





まだ見ぬ結婚相手を思い浮かべ、もう一度深く溜め息を吐こうとしたとき。



ガタンッ




「きゃっ!」




今まで規則正しく上下左右に動いていたはずの久保姫を乗せた輿が大きく揺れた。


伝わった衝撃で前にぐらりと倒れそうになる久保姫の体。

慌てて手を下について体を支える久保姫。


キョロキョロと辺りを見渡すが閉じられた輿からは外の様子を窺うことは出来ない。


そのうちぴたりと輿の動きが止まる。

同時に増した周囲の騒めき。

増えた馬の足音に久保姫は無意識に息を呑んだ。




「なっ何事ですか…?」




不審に思い外に向かって声をかけるも返ってくる言葉はなく。


ただただ忙しなく慌てたように狼狽える息遣いが聞こえてくるだけ。




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