僕らの明日の話をしよう

「この病気は、難病指定をされている病気です。特効薬もありません。
対症療法で使える薬は最近認可されましたが、その薬に病気のもとを直す効果はありません」


「そん、な……!
じゃあ、綾は……娘はどうなるんです!?」



気が動転したように声を荒げるお母さんに、担当医は冷静な口調のまま続けた。


診断がついてからの平均寿命は4年であること。

個人差はあれど予後不良で白血病や他の病気に移行し、死にいたるケースが多いこと。



「唯一効果的な治癒法は、移植手術です。
ただし予後不良だったり、移植のリスクが高いこともあり死亡率は低くはありません」


「なん……なんなんですか、それはっ!
それじゃあまるで……っ」



言葉に詰まるお母さんを横に、私は続く言葉を正確に読み取った。


死刑宣告みたいだ。



私はもうすぐ死ぬ。

そう言われているのと同じに聴こえた。









生きる意義を見失った。

それが去年の夏の出来事。



あれからもうすぐ、1年が経とうとしている。
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