桜のキセキ
「なぁ…。あんた暇人?」
突然、後ろから声をかけられた。
驚きながらも、低くて優しい不器用そうな声に振り返った。
そこには、私と同い年くらいの茶髪の少年が微笑みながら立っていた。
照れ臭そうに、少し寂しそうに、着ているパーカーに両手を突っ込んで、笑って立っていた。
突然の出来事に戸惑い、固まっているとまた彼は笑った。
「俺、神木悠飛(かみきゆうと)。お前の名前は?」
「…………。城崎亜弥」
ボソッと小さく聞き取れないであろう声で答えた。
「宜しくな!亜弥。俺のことは悠飛で良いから」
見事に私の声は、彼に届いてたらしく宜しくまでされた。
仕方ない……。
「宜しく。」
と、ぎこちない笑顔で私は答えた。
―――――――――――――――――
――――――――――――
―――――――――
今、思えばこれは本当の運命だったのかもしれない。
もし…
神様というのが存在していたなら、今から私が向かう運命の先の希望の光。
―――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――――――――――――――
私の思考をかき消すかのように、ザワァと風が通り抜けた。