桜のキセキ
彼女が去ったあと、少し残ったお菓子を大切に備え付けの引き出しの中に入れた。
「はぁ…。」
深くため息をついた。
ベッドの上は退屈だった。
病室といえど、私の部屋は個室。
話す人など居ない。
お見舞いに来るのは、由梨ただ一人だけ。
家族?
崩壊しかけた家族なんてただの同居人でしかないの。
「はぁ……。」
由梨との笑い声が消えて、静まりかえった空白の病室には私のため息だけが再び響いた。
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