秘密の歌は俺へのエール
嫌な思いで?

どの思い出も宝物

ダメだ 消せそうにない僕にはもう君の幸せを願うしか

できないらしい

世界中の誰よりも幸せに

僕って馬鹿だな

誰か教えてよ上手な生き方

でも この生き方が

僕に一番あってるみたい』


気がついたときには膝の上で握り締めていた手の甲に数滴の雫があった。
そして、扇風機の風で頬が冷たくなる。

「ヤバいな、これ…」

歌が終わっても出てくる涙は止まらなかった。
切ない歌声と歌詞。
とにかく歌声に引き込まれる。
演技力と歌唱力を兼ね備えた究極の歌だ。
誰が聞いても認められるだろう。

翌日。

なんか、だるいな…
まぁ部活終わってすぐ帰って寝ればいっか。
そう思って家を出る。


「緒方いくぞー」

顧問がボールを打ち上げる。
いつものようにボールの落下位置に入るが、ボールが目の前に来た瞬間。

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