たとえ誰かを傷つけても

りーちゃん

りーちゃん・・・中谷りか・・・
この名前を口にするたび俺の心はせつなくなる。何か不思議な呪文のようだ。

もうわかってると思う。俺はりーちゃんのことが好きだ。大好きだ。でも、言えない。
りーちゃん当人にはもちろん、他の誰にも・・・

優しくて人当たりのいい、相談役の八神君としては、言えないことだってある。
何度この性格に泣かされてきたことか・・・

話をしていていいなーと思った子がいるとする。
この子のこと好きになりそうだなーそんな予感がどんどん強くなってきた頃、相手の女の子に告られる。

「私、八神君の友だちの柊真君が好きなの・・・」

何度このパターンにあったことか・・・

でも、涙をのんでその子と柊真の仲をを取り持っても、全部柊真の方から断わっちまう。
あいつは自分の選んだ女しか付き合わない。そんなところまで小憎たらしい。

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