あまのじゃくな彼女【完】


「・・・っ!意味わからんのはお前だ、バカ!!」


急に両腕が背中へとまわされ身体ごと引き寄せられると、懐かしい優しい香りに包みこまれた。



「可愛くないなんて言ってねぇ」



両腕に力が入りギュッときつく抱きしめられる。
シュンちゃんの温もりか、火照った私の顔のせいなのか。胸にくっつけた頬がじんわりとあったかくて、その優しい鼓動に耳を澄ませた。


「お前の事になると俺すぐ取り乱すから、そんなの会社の人間見られるのこっぱずかしいって意味。最後まで聞け、バカ」

シュンちゃんが取り乱す?
想像がつかない事態に信じられない気もしつつ、彼の言葉に気が抜ける。

「でももうそんなの諦めた。大体、俺の所にいなくてどこ行くっていうんだよ」


「・・・私、居て・・・いいの?」


そっと身体を離されるとぐちゃぐちゃな私の顔を優しく見つめ、髪から耳、涙でぬれた頬をゆっくりと優しく撫でた。



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