あまのじゃくな彼女【完】

「せんぱぁーい、ヤバいです助けてくださいぃ」

つけまつげに特盛マスカラの眼を潤ませて、千葉さんがすがるように泣きついてきた。

1年目の千葉さんは女子力の塊だ。
いつだってメイクばっちり、巻髪フルセット。
まだ研修中だから制服を着てるけど、そのスカートすら丈がやばい。
その気合いの入りっぷりに私は怯んじゃうけど、男性社員の評判は上々のようだ。
涙目で頼んじゃえば、大抵みんな手伝っちゃうんだから。



「なあに、千葉さん。わかんないとこあるの?」


「今月の市場調査のデータ入力言われたんですけど、過去データの場所わかんなくって比較表も作んなきゃいけないんですー」

ぐすぐすっと涙声で話す。そんな泣く事か?

まぁ仕事やろうとしてるだけマシか。


「それならここの共有フォルダにまとめて入ってるから探してみて」

「えー多すぎませんかーあ、先輩時間あるなら・・・」

「それくらいできるでしょう?時間かかってもいいから1人で頑張んなさい」

「う・・・はーい」

語尾は伸ばさんでよろしいのに。まぁ仕事やってるだけまだマシか。

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