あまのじゃくな彼女【完】

1人反省会を繰り広げていると、うぃーと呑気な声を出して宏兄がダイニングへ入ってきた。既に稽古を終えシャワーでも浴びたのだろう、髪が濡れている。




「おう、芽衣子お前昨日はすごかったなぁ」

ニヤニヤしながら浅漬けをつまみ、ばりぼり良い音をさせながら言う。



「そんなに昨日の私、ひどかった?」

「ひどいっつーかなんつーか、いくら起こしても全然起きねえんだもん。お前背負って部屋に運ぶとか、あいつやっさしーねぇ。いやー愛だね、愛」


起こされた記憶も、まして背負われた記憶もまったくない。これはスカートやセクハラがどうこうなんてもんじゃない・・・恥ずかしすぎる。



「いや、愛とかじゃないから!ただの上司だし、そんなの係長に失礼だよ」


「ぁあ?上司?・・・ふーん、そゆことね。大層優しい上司だこったな」


ニヤついた顔はそのままに、何事か納得した宏兄は朝食へと意識をうつしていた。


< 64 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop