あまのじゃくな彼女【完】



「あ、もう1人いたんですよ響かない人。というよりは、かわされてる感じですかね?山下さんみたく気付いてない訳ではなく、何もかもお見通しみたいな。優しいしすごい人だとは思うけど、本性隠してるというか」

うんうんと頷きながら1人分析する千葉さん。




「なーんか裏がありそうって思いません?・・・高遠係長って」


「へ、へぇ・・・そうかな」

裏を知っているだけに反応に困る。


すごい、すごいよ千葉さん。あなたの見る目は本物です。完璧に使い分けてる係長の別の顔を見破る人間がいたとは、あっぱれ。



「あ、でもこの間の接待の日。吉村さん追いかける時の係長、あれは完全に素でしたよ。山下さんの電話切った途端、血相変えてオフィス飛びだして行きましたもん。あんな取り乱した係長初めて見ました、ふふっ」


「そっか、部下がセクハラ被害とかとんでもないもんね。申し訳ない事したな」


「なーに言ってるんですか!先輩だったからでしょう?今までどんなトラブルでも、係長顔色ひとつ変えませんでしたもん。吉村さんと係長、良いじゃないですかお似合い!私今回のお詫びに全面協力しちゃいます」


「はい?」


よーし頑張るぞーなんて自己完結して颯爽と去る千葉さんを止める事などできず。ただポカンとするしかなかった。


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