絶対的愛情



「だから、もう一度…頑張ってみてもいいかな?相手にされていないことは分かってる…でも、俊介への愛情は誰にも負けない。絶対的愛情!」


「絶対的、愛情ですか…」



それでもダメだったら、諦めよう…。

なんだか、スッキリした。胸の奥で渦巻いていたモヤモヤがなくなって。


「じゃあ、帰るね。本当、ありがとう…」


ポカンとしている俊介を横目に立ち上がった瞬間…


「瀬戸さん?!」



世界が廻って、気が付いたら俊介の腕の中にいた。


「あ…れ?」



私、めちゃくちゃカッコ悪い…。こんな状態なのに、心なしかぼんやりする。


「ちょっと、失礼しますよ」


「ひゃっ」


急におでこに手を当てられて、初めてはっとした。

熱があるのかも…



「やっぱり…熱があるじゃないですか!」


「だっ、大丈夫。とりあえず帰らなきゃ…」


これ以上、俊介に迷惑はかけられない。
無理矢理起き上がろうとするけれど、俊介におでこを押さえられているせいで叶わなかった。



「送っていきます…雪も積もってきてますし。イエスと言うまで起き上がれませんよ」


「う…」


俊介の大きな手は、冷たくて気持ち良い。
ずっとこのまま当てていれば、熱も冷めてしまいそう…なんて考えているうちに、思考がふわふわとしてきた。


「い…イエス!お願いします…」


「はい。では、車用意してきますから…少し待っていてください」


そう言って、起こしてくれた俊介は優しく微笑んで。


ぼんやりながらも、私の胸はドキドキしてしまった。



.


< 41 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop