°°ワガママの果て°°
すっかり薄暗くなった部屋にポツンと燃える小さな赤い灯り。



目を細めながらフーっと煙を吐く悟くんの横顔に、昼間亜希に言われた事のモヤモヤを吐き出した。





「ねぇ悟くん?」





「ん?」




咥えたままのタバコがさらに赤くなる。





「もしも、悟くんの事を好きって女の子が告白してきたらどうする?」



聞くのが怖くて、でも考え出したら止まらなくて…午後ずっと考えていたモヤモヤした気持ち。
こんなに意を決して聞いたのに悟くんはあっさり答えた。




「どんな人かによるな!」




予想外の答えに一瞬にして曇ったココロは不安でいっぱいになる。






「えっ!?どんな人なら好きになっちゃうの?」







悟くんは即答した。








「全てがお前みたいな女!
外見も中身も何一つお前と違わない女!」






トキメク胸が張り裂けそうで悟くんの腕にギュッと抱きついた。




「そんな人いないよ♡」






「いないよ!こんなワガママな女!」





「ひどい~♡」





「いたら紹介してよ!」






「やだぁぁぁ!絶対紹介なんてしないからね♡」



部屋中に響き渡る声。






「安心しな、絶対いないから」






うなずくわたしの頭をポンポンとしてくれる悟くん。






また1度上がった熱が想いをさらに強くした。



好きでいて、そばにいて。



たった数分だけの時間でも
呼んだらすぐ逢いにきて…




寂しくさせないで、
一秒も忘れないで。





求めるばかりのわたしの想いにすんなり答えてくれる悟くん。





「ワガママでごめんね…」




「それがお前じゃん。
そこも含めて好きだから」






ねぇ悟くん…
わたしは悟くんが好きだよ。
俊哉と別れない限りこの想いの全ては伝わらないけど…
もう少し…もう少しだけこのままでいさせて。
< 149 / 160 >

この作品をシェア

pagetop