イージーラブじゃ愛せない


ファミレスで晩飯を終えた後、俺たちはそれぞれカップルになって帰って行く。


「じゃーねー。おやすみー」

「また明日~」


胡桃が最近すごく変わった事と言えばさ、これなんだよね。

しょっちゅう俺の部屋に泊まりに来るようになった。例えば今日みたいに、明日が仕事だとしても。

時には2連泊なんて事もある。うちに泊まって、そのまま翌日いっしょに出社して、そんでまたいっしょに帰ってくる。もう同棲みたいっしょ。


そういうの、俺はかなり嬉しいけどさ。やっぱちょっち心配にもなる。あんま帰らないと親とか怒んない?って。

そう聞いたとき胡桃は

『もう大人なんだから外泊ぐらいで何も言わないよ』

なんて言ってたけどさ。

でも、もし俺が娘のいる親父だったら、やっぱ幾つになったって心配すると思うけどなあ。

うちの娘たぶらかしてんのは何処の男だって。いっぺん顔見せやがれーって。ん?そう考えると、俺、胡桃の親父さんとかに挨拶すべきなの?

なーんて考えてた俺に胡桃は『あんまり泊まるの迷惑?』なんて、どっか不安そうな色をクールな表情に押し込めて聞いてきたから、俺は首を横に振ってこの話はもうしないって決めたけども。
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