黄昏の特等席
 ひたすらエメラルドに説教をしても、本人は何が楽しいのか、ずっとニコニコ笑っている。

「楽しいだろ?」
「振り回さないで・・・・・・」

 こんなに笑顔でいられたら、だんだん怒ることができなくなってしまい、グレイスは呆れながら小さく笑った。
 エメラルドはそれをしっかり見てから、休日について話を始める。

「もうすぐ休日だな」
「はい」

 休みをどのように過ごすか、グレイスはまだ考え中。

「何かする予定でもあるか?」
「いや・・・・・・」

 特に何もないことを伝えると、その日の夜の時間を二人で過ごしたいことを告げられる。

「朝と昼は?」
「どちらの時間もちょっと外すことができない先約があってね・・・・・・」

 できるだけ早く戻るように言ってきたので、グレイスは自分のことを気にしないでいいことを言った。

「それにしても嬉しいな・・・・・・」
「何が?」
「アクアが長時間、私と一緒にいたいと思ってくれて・・・・・・」

 反論しようとすると、鼻先に唇を軽く押しつけられた。

「埋め合わせはちゃんとするさ」
「しなくていい・・・・・・」

 これ以上何かされたら、自分の心臓が止まってしまう恐れがある。

「君が何かしてくれるのか?」
「しません」
「してくれないのか・・・・・・」

 残念そうに肩を落とすエメラルドに背を向けて、一人で本を取りに行った。
 
「勉強をするのか?」
「ううん」

 グレイスは本を読もうと思っているだけであることを伝え、踵を返した。エメラルドはもう一杯紅茶を飲むことに決め、グレイスの背中を見つめた。
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