黄昏の特等席
 これから自分のことを呼ぶときは名前で呼ぶように言った。

「気が向いたら呼ぶ・・・・・・」
「なら、気を向かせようか?」

 もしも呼ばなかったら、ペナルティを執行する気でいる。

「ペナルティって、どんな?」
「それはゆっくり考えるさ」
「考えていなかったのね・・・・・・」

 考える必要なんてないことをグレイスが言っても、エメラルドは楽しみが増えて、機嫌が良い。

「眠くないの?」
「アクアが来る前は眠っていたさ」

 グレイスに起こされたことを再度言われ、エメラルドに頭を下げる。

「顔色が良くない・・・・・・」

 エメラルドの手がグレイスの頬を撫で、そのまま下からグレイスを見上げる。
 嫌な夢を見たことを言うと、どんな夢なのか質問をされた。

「言いたくない・・・・・・」
「言わなかったら、正夢になってしまうぞ?」

 グレイスが見た夢は自分の過去だから、言わなくても問題ない。
 口を開こうとしないグレイスを見て、エメラルドはそっと溜息を零した。

「ところで・・・・・・」
「もぞもぞ動いて、どうした?」
「そろそろ離れたいの・・・・・・」

 右手でエメラルドの胸を押しても、彼の腕はグレイスにしっかりと巻きついている。
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