天然愛され彼女と…俺の生活。

哉魔屋の秘密。


透明の腕を掴んだ時…、いつもより細い気がした。

顔色も冴えない。

あれ?

山行った時より…痩せてる?

俺は気付かなかったんだ。

透明が海に行きたくない理由が分かった気がする。

あの男・哉魔屋弓弦に遭遇する確率が上がるからだ。

「…幻滅したよね」

涙が白い砂浜を濡らす。

透明の涙は堰を切ったように溢れ出す。

「…そんなことない。俺は透明が好きだよ」

これが本音。

だって…俺の目の前にいるのが今の透明だ。

俺は目の前にいる透明しか知らない。

それでいい。

今はたったそれだけで…。

他に信じるものなんてないかもしれない。

それでも俺は…ずっと透明の味方でいる。

心に誓うから。

「…泣くな」

苦しかった。

透明を泣かせてしまったこと。

振り絞るようにして出た声は小さかった。

透明はハッとして顔を上げる。

俺はぎゅっと抱きしめた。

「シグちゃん…」

透明の顔に雫が落ちる。

「…うん。俺は透明が好きだよ」

きっと…透明は幻滅したはず。

一番辛いのは、透明のはずなのに。

「…泣かないで。あたしの為なんかに」

透明の細くて綺麗な指が俺の涙をすくう。

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