恋するリスク
なのに・・・。

まさか、自分が浮気相手だっただなんて。

モテる人だから、私は、彼が浮気しないかと心配していた。

でもこの気持ちは、本当は・・・婚約者の人のものだったんだ。

西村先生との思い出が、次々によみがえる。

こんな時、いいことしか思い出せないのはなぜなんだろう。

私を呼ぶ声。

抱きしめる腕。

どれももう、私に向けられることはもうないんだ。

そう、わかっているのに。

どうしようもなく、抗いたくなる感情を、私は抑えることが出来ない。


(戻れないのかな・・・。)


なんとか、時間を戻すことはできないのだろうか。

ううん・・・そんなことが出来ても、戻れるはずなんてない。

だって、いつからかわからない時から、彼は婚約しているのだから。

告げられた時、驚きと怒りしかなかった感情は、事実を理解すれば理解するほど、悲しさと淋しさが占めていく。

涙が幾筋も、頬を流れて止まらない。

枕に顔をうずめる。

止め方のわからない涙を流しながら、私は一晩中自分の気持ちと闘っていた。

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