恋するリスク
佐藤くんの車は角張った黒いセダンだった。

「狭いですけど」と言われたけれど、装飾のない室内は、外観の印象よりも広く感じた。

ゆっくりと走り出した車の中では、地元局のFMが流れている。

ラジオDJの弾んだ声だけが車内に響き、ここが二人きりの空間であることを、いやでも意識してしまう。

一度そう感じてしまうと、ドキドキは増していく一方で。

私は、落ち着け落ち着け、と自分をなんとか言い聞かせる。

佐藤くんも、いつもはいろいろ話しかけてくれるのに、今日はなんだかおとなしい。

「すいません、なんか、緊張してて。」

車内が静かなことが気になったのか、佐藤くんは前を向いたまま私に謝る。

私のことが好きだと言っているのだから、このシチュエーションにドキドキしているのは、佐藤くんも同じなのかもしれない。

「・・・変わろっか、運転。」

私は、自分も緊張しているとは言えず、冗談まじりにそう尋ねる。

「いえ。基本、運転は好きで得意なんですけど。

助手席に藤崎さんがいるとか・・・なんか、現実じゃないみたいで。

あ、でも、そんなこと言われたら不安ですよね。乗ってる方は。

大丈夫です。まかせてください。」




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