椿の氷
何とか体制を持ち直すが、やはり重力には逆らえない
私は、顔面から地面に激突―――




「龍牙、何てことをするんだい」


せずに、甘い香りに包まれた

視線をあげれば、肌色のサラサラな髪
キューティクルなそれが、頬を掠めこそばゆい

甘い香りは、多分この人の制服


「…華亜羅、その女も仮入部希望者だぜ」

「そんな輝く原石に、お前は何という扱いをしているんだ」



カーラ…?
この甘い香りの方の名前かしら?
人のこといえた質ではないが、かわった名前だな

「…君、大丈夫?」

「あ、はい…」


顔をあげれば、俗に言う甘いマスク
御剣さんと、似て非なる漆黒の瞳は、感情を包み隠していた

私が何事もないのを察し、彼は立ち上がる
それで気づいたが、彼は御剣さんと同じくらい背が高かった
寧ろ、やや上…?


「うちの副部長がすまないね
俺は、朱崎 華亜羅<シュザキ カアラ>
二年で、共同庭球部の部長だよ」




最近は、後輩が部長や副部長職につく事が多いのでしょうか?
入学数分で、私は早くも転校を望みたくなった

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