恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「なんだ、山田」
「なんだじゃないですよ! 勝手に入らないで下さいってば!」
ジャケットをグイグイ引っ張る。すると、みるみるジャケットが脱げていく。
ジャケットが完全に脱げてもお構いなしにスタスタと廊下を歩いて迷うことなく寝室のドアを開ける課長。
「あ〜〜〜! !」
あまりの出来事に言うべき言葉が出てこなかった。
寝室に入ってしまった課長を追いかけ、慌てて私も寝室へ入る。
無言でベッドを見ている課長。
「課長! あるじの寝室に断りもなく入るなんて! 最低です!」
「ああ、入る。404の山田さん」
「入ってから言ってもらっても困ります! 下の上野さん」
「……両側があいてる。ベッドの片側を壁に寄せろ。このままじゃ、お前が左右から好き放題に落ちる」
「落ちるのは、好きでやってないんですからね! それに、嫌ですよ。ベッドを壁につけると狭苦しいじゃないですか」
私の意見などお構いなしにベッドを壁つけようとする課長。
「やだ! 勝手に動かさないでよ!」
壁方向にベッドを押そうとする課長。課長の隣でベッドを引っ張る私。
どんどん壁に近づくベッド。
ーーー力じゃ敵わない! ならば!
私は、ベッドの上に乗っかった。
ーーー重くなれば、簡単に押せないはず。