きみと世界が終わるまで


仕方がないなあと思いながらも、僕もゆりあと目をあわせて笑う。


真剣に勝負して負けたのだから、ゆりあの願いはきちんと聞いてあげよう。


それがどんなに無茶な願いでも、悲しい願いでも、苦しい願いでも、ゆりあが僕に叶えてほしいと思うのなら、僕はできる限り頑張ろう。


「ゆりあ、お願い事ってなに?」


重い雰囲気になってしまわないように、優しく尋ねた。


笑って、僕の隣に座るゆりあの顔を覗き込むように。


ゆりあがお願い事を言いやすいように振る舞った。


「……優太」


ゆりあはそんな僕の顔から目をそらすようにして、その場に立ち上がる。


お尻についていた砂が、ぱらぱらと無造作に落ちていく。


急に立ち上がったきみに驚いていると、きみは頭上に広がる空を大きく仰いで、そのまま静かに話し始めた。


「優太、私のお願い事を言う前にね、聞いてほしいことがあるの。優太に、今を生きている優太に、聞いてほしい話」

「……僕に?」


いきなりのことに上手く頭がついていかず、自分のなかで何も分からない。


ゆりあに短く返事を返すのが精一杯だ。


そんな僕をさらに混乱させるように、ゆりあが言う。


「……ねえ、優太。生きていることって、奇跡だと思わない?」


きみは、振り返る。


星空から目を離し、僕のほうを振り返る。


───振り返ったきみの頬には大きな滴が流れていて、その涙を拭うこともせず僕を見て悲しそうに笑っていた。


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