不良リーダーの懸命なる愛

化けの皮

笹原さんの仲間の一人が鬼の形相で笹原さんに詰めよった!


「今のどういうこと!!? “ホテル” って何のこと!!!?」


そう言って笹原さんをどついた。


「ちょっと痛ぁーい!肩脱臼したらどうしてくれるワケ?!」


「里菜!この男(ひと)とホテル行く約束してたの?!どうなの!!!」



す、すごい剣幕……!



「な、なんなのよ急に…。亮介がどうかしたワケ…!?」


「 “亮介” って…!!~~~っ亮介さんは、アタシの彼氏なの!!!気安く名前で呼ばないでッ!!!!」



え!!?



あの子の彼氏さん!?



だとすると、笹原さんがしたことって、


友達を裏切ることになるんじゃ……!?




だけど笹原さんはいまいち状況がのみ込めて無いみたいで……。


「りょ…亮介が……アンタの彼氏!??」


「そうよっ!!ちょうど一週間前に付き合い始めたばかりなの!!!デートだってまだろくにしてないんだから!!!!それを、……アンタはッ!!!」


「ちょ、ちょっと待ってよ!!里菜は、アンタと亮介が付き合ってるなんて知らなかったもん!だから里菜は悪くないし!!」


「ふざけないで!!!この横取り女!!!!なにが “里菜が好きなのは理人だけ” だよ!!!ちゃっかり人の彼氏略奪しといて!!!!よく言うよ!!」




その子の勢いは止まらず、あの笹原さんが圧倒されていた!


「ちょっと……りょ、亮介……!なんとかしてよ!このままじゃ里菜がタダの悪者になっちゃうじゃないッ!!」


するとその亮介という男性は、
笹原さんに文句をぶつけている女の子に対して口を開いた。



「麻友、ゴメン……。俺、昨日里菜と酒飲んで、その勢いで里菜と寝たゎ。」


「なっ!!!!」


「亮介っ!!?何言ってんの!!?」


「それに里菜がまさかお前の友達だったとは知らなかったゎ。昨日も街で偶然知り合って、里菜が “二十歳” って言うから飲みに行かない?ってなったダケで。で、気がついたらホテル行って、里菜と最後までヤッちまった…。」


「亮す…け……さん…………、」


「ちょっと!!里菜たちなにもシテないじゃないっ!!!!なにウソついてんのっ!!?」


「だってホテル行ったのは事実だし。変な言い訳すんなよ。」


「ーー!!!」


「なっ!!そ、そ、それでも、そのあとの記憶は里菜は無いから!!!……ねえ、麻友、信じて?!里菜はこんな男となんか、エッチして…」







パアァァーーン!!!







!!!






その時、強烈なビンタが笹原さんの左頬に当たった……!



「……ちょっと、何すんのよ!!!!痛いじゃない!!!」


笹原さんが発狂する。



すると叩いた女の子が涙を流しながら震える声で言った。


「最低……、下衆オンナ………!アタシは本気で亮介さんを……!……っ。」


「悪かったな、麻友。……俺、こんなことしておいて、麻友ともう付き合うことはできない!だからもう逢うのはよそう。じゃあ、さよなら。」


と言って、男性はスタスタと足早にその場を離れて行き、
姿を消してしまった。





周りの視線が笹原さん一点に向けられる…!


その状況に笹原さんが気づくと、急に慌てふためく!


「ちょっ、やめてよ!!そんな目で見ないでよっ!!!里菜はやってないからっ!!!人の彼氏を寝とるとか、そんなのやるわけないじゃない!!!さっきの男に……、む、無理やりホテルに連れこまれて!!」




すると今まで固まって放心状態になっていた校長先生の呪縛が解かれた!!



「……き、君という生徒はあぁーーー!!!!なんという不埒な話をこんな公共の場で!!!しかも高校生が飲酒するなんて言語道断だッッ!!!」


校長先生は真っ赤な顔をして、笹原さんに雷を落としていた。


「あ!!えっと……。ち、違うんです、先生!!里菜は、」


すると反対側では、

さっきまで笹原さんの仲間だった女の子達全員が鋭い目つきで笹原さんを睨んでいる!



「ちょっと里菜?アタシらをずっと騙してたってワケ?」


「本命は “理人” とか言っておいて、結局オトコなら人の彼氏でも良いんジャン!!」


「 “理人はみんなのもの~” とか言っててもさぁ、毎回アンタが独り占めしようとしてんの目に見えて分かってたんだよね~。」


「ほぉ~んと!正直もう理人のオッカケ飽きてたしぃ~。独りでやればぁ~?ってかんじ?」


「最低!!!アンタなんか、友達でもなんでも無いッ!!!!!!」


笹原さんに仲間からの罵声の嵐が吹き荒れる!




「そ……そんな……、」




顔面蒼白の笹原さんに、さらに追い打ちが!




「はっ!こんなことで仲間割れか!……脆い絆だな?」


と、暴走族のリーダーの人がトドメの一言を放った!




「……っ!!」




笹原さんはその場に、
膝から崩れるように座り込んで泣き出してしまったのだった……。
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