不良リーダーの懸命なる愛

助け

「イッテーーなっっ!!!なにすんだ…よ??!」



准平くんが振り向いた先には、


霧島くんが目の前に立たずんでいたっ!!



「准平ぇっ!!!てめぇは性懲りもなく、また手ぇだしやがったなっ!!?」



霧島くんの怒声が辺りに響き渡る…!



「り、理人さん…!?な、なんだよ~、俺はいつものごとく、ピュア子ちゃんと愛を育んでただけジャンかあ~~~!」


「アァ”!!??それが迷惑だってぇのが分かんねえのかよっっ!!!!」



ひぃっ!!!




き、霧島くん、今朝と違う人みたい!



こここ怖すぎだよ!!!



泣きそうだったのが、本当に目が涙でにじんできた…。



「っ!!」



そんな私の態度に気づいたのか、


霧島くんがこちらを見て息をのむのがわかった。



「わ、悪い、鳴瀬!いきなり大声出して…その……びっくりしたよな?!その……俺のツレが迷惑かけて、本当に悪かった!!」



霧島くんは准平くんと私の間に割って入ると、

私から准平くんたちが見えないように背にして、声のトーンを下げて申し訳なさそうに謝ってきた…。




霧島くん…。




わざわざ私を庇ってくれたの?



それに霧島くんのせいじゃないのに、

また謝ってくれた……。



霧島くんの気遣いが有難くて、自然と頬がゆるんでしまった。




「う、ううん……。助けてくれてありがとう、霧島くん。」


「ーーーっ!!!い、いや、べつに……大したことは…してねー……。」



あ、あれ?



なんか……霧島くんの顔が赤くなってる?




口に手をあてて、私から目をそらしている。




???



「ギャハハ!!准平、また理人さんに怒られてやんの!」


「だよな!ウケる!」


「あ~でもさっきのピュア子ちゃんの、 “離して?” だっけ?もう一回聞きてぇ~!!」


「あれは可愛かったなっ!!なんかすんげー興奮したしっ!」


「だよな~!ベッドの中で言われたら、マジたまんねぇよな!!」




ギャハハハハハ





な、なんだか凄い盛り上がってるな…。



すると……。



「てめぇら……。いい度胸してんじゃねえか……。」



き、霧島くん?!



さっきの優しいお声はどこへ?!!


ゆらりと友達の方へ振り返ると、それまで聞こえていた笑い声がピタッとやんだ!



え!!?



ま、まさか……喧嘩とかしないよねっ!?



ヒヤヒヤしていると、そこへ穏やかな声がとんできた。


「おい、理人。なに戦闘モードに入ってんだよ?」


あ…!


この人、前に廊下で見たことある!!


スキンヘッドだからか、その斬新な格好に憶えがあった!


確か……名前は……。



「ヤス…。べつに。なんもねえけど。」


「何が “べつに。” だよ……。他の奴ら完全にビビってんじゃねーか。」


はぁ…と、

ヤスさんはため息をひとつついて、こっちにやって来た!


「こんにちは。鳴瀬さん?だっけ。理人からよく鳴瀬さんの話は聞いてるよ。もしかしてまたこいつらに変なことで巻き込まれちまったか?」


「え…!?いえ、あの、だ、大丈夫です!お、お気になさらず…!」


驚いたっ!


私の名前知ってたんだ!!



……って、え?



霧島くんから私の話って??



「お、おい!ヤス!余計なこと言ってんじゃねぇよっっ!!」


霧島くんがヤスさんに何やら小声で訴えていた…。


「あれ?余計なことだったか?それは悪かったな。まさかこんなに入れ込んでるとは、いざ知らず……」


「ヤスっ!!てめぇいい加減にしろよ!!?」


「ハイハイ。悪かったよ。そんな必死な理人見るの、初めてだったからさ。」


ハハッ!とヤスさんは笑っている。



ヤスさんってなんだか、


肝が据わってるというか……!



あの霧島くん相手に全然動じてない!?



「ったく!……あ。それと、悪ぃがヤス達は先に行っててくれ。俺は後から行くから。」


「え!?理人さんは!?一緒に行きましょうよ!」


「俺はこの子に詫びを入れてから行く。だからお前らは先に行け!」


するとすかさず准平くんが抗議をしてきた!


「えーーー!!!理人さんだけず~る~い~~!!俺もピュア子ちゃんに詫びのハグをし」


「ヤス、後は頼んだ。」


「ハイハイ。さ、准平くん?行こうか。」


「ちょっ!!ヤスさん離してってば!!なんで理人さんだけなんだよーー!!~~~っ鬼!悪魔!!理人さんのケダモノォーーー……」



准平くんはヤスさんに引きずられるようにして、連行されていった……。




急に私と霧島くんの二人になったせいか、静けさが一気にやってきて、それと比例して私の心臓もバクバクしてきた……!



ききき緊張する……!!



“詫び”って何だろう?!



思わず霧島くんの方を見やる。



霧島くんもどこか落ち着かない様子で、そわそわしていた。




ハッ!!




もしかして早く帰りたいんじゃっ!?




「き、霧島くん!」


「鳴瀬、あのさ」




あ………。




か、かぶってしまった!!


出しゃばっちゃったよ!!



「ごごごごごめんなさい!!」


「あ、いや……俺の方こそ悪ぃ。」



シーーーン。



また沈黙がやってくる。



うっ…。



ど、どうしよう?!




どうすればいいの!!?
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