不良リーダーの懸命なる愛

こぴ・るあく

『え?!それで千枝ちゃんと連絡途絶えちゃったの!?』


「うん。途中で切れて、もう一度かけ直してみたら、電源が入ってないみたいで繋がらなくなっちゃって…。だからバッテリーが途中で無くなっちゃったみたい!」


『そうなんだ…。千枝ちゃん、体調の変化が何もなければいいけど…。いつも興奮しすぎて鼻血出そうにならないか心配になるから…。』



その後すぐに唯ちゃんとも電話した私は、さっきの電話の内容や霧島くんのことを唯ちゃんに話した。


唯ちゃんもかなり驚いてたけれど、ちーちゃんのエピソードのお陰で冷静さは保ててるようで……。



ちーちゃん、色々とありがとう…。



そして、興奮させてごめんなさい。



『じゃあさ、明日もしみんなの時間が合えば、少し会って話さない?そうすれば私と千枝ちゃんの知恵も出しあえるし!それに千枝ちゃんの暴走も抑えられるじゃない?…って。…私も……その……独りの世界に行かないように極力気をつけるけどね?』


唯ちゃん……。


「うん!ありがとう!」





こうして3人で相談した結果、午後3時に駅前に集合となったのだ!


そんな私は約束の40分前に到着してしまった…。



けっこう早く着いちゃったな。


何処かでお茶でもしてようかな?


そんな事を考えていると……。



あ!


そういえば!


確か昨日、霧島くんが駅の近くでバイトしてるって言ってたっけ!!


彼の昨日の言葉を思い出す。




『駅の西口に “コピ・ルアック” っていうカフェで働いてるから。だから会いたくなったらいつでもおいで?』



カアァァ~。



顔に熱が集まってくる……!


きっと今の私の顔は真っ赤に染まってることだろう…!


ど、どうして霧島くんのことを思い出すだけで、こんな風になっちゃうのかな……?!



もう~!


原因はコレのせいだよ!



絶対っ!!



コレ……とは、首筋のキスマークのこと。



そこには今、しっかりと絆創膏が貼られている!



こ、こ、こんなの人に見せられないもん!!



昨晩はこのキスマークが気になりすぎて、なかなか寝つけず、その度に霧島くんにキスされた時のことを思い出していた!


霧島くん……、


ちょっと恨むよ……。



きっと私がこんなに苦労していることを彼は知らないだろう。



たかがキスマーク……なんて絶っっっ対に言わせないんだからッ!!!


寝不足もたたってか、今の私はかなりムキになっていた…。




時間もあるので、とりあえず駅の西口方面に向かい、そのお店を探してみることに!



確か、“こぴ、るあく” だっけ??



珍しい名前だよね。何処だろう?


西口に出ると、一気に住宅地が多くなるので、ここにカフェがあるとはあまり想像できなかったけれど。


すると駅に通ずる道に、一軒のカフェが!


あ!!


あれかもしれない!


道を挟んで存在するそのカフェは、レトロな雰囲気で決して大きいお店とは言えないけど、
可愛らしい小物も置かれていて、なんだか昔ながらのお店という感じだ。




あそこに、霧島くんが……。




そう考えると、なぜか行く足がためらってしまう。



な……なんか……緊張するな。



もし霧島くんに会っちゃったら、どうしよう!?



ど、どんな顔して会えば…!?



でも、べつに霧島くんに会いにきたわけではなくて、
ただ私は “こぴ、るあく” っていうお店がどんな感じか気になって来ただけだし……。



今は彼に会いたくない、


…………のだろうか?



でもどこかで、彼に逢えるんじゃないかと胸の奥で期待している自分がいる……。



と、とにかくお店の前まで行ってみよう!


道路を渡り、お店の前まで行くと窓はカーテンでしめられていた。


中の様子が見えないな……。


ふと入り口のドアに、“close” と書かれた小さな看板がかけられていた。



あれ?


こんな時間なのに営業してないのかな??


お店の周りをくるくると見てまわる。



あ。綺麗なお花……。



ガーデニングもあって、きれいに手入れがされている。


「このお花は何ていうんだろ?朝顔みたい……。」


ついそんなことを呟いていると………。





「ペチュニア。」
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