不良リーダーの懸命なる愛

嫉妬

コピ・ルアックに来店して数十分が過ぎ、そろそろちーちゃん達との約束の時間に近づいてきたので駅へ向かうことに!





「すごく美味しかったです!ご馳走さまでした!おいくらですか?」


と、お財布を取り出すと……


「いいのよ!アタシのオゴリ♪だからまた飲みにいらっしゃい!咲希なら大歓迎だから!!」


え!!


い、いいのかな!?


その言葉に戸惑ってしまい、ふと霧島くんのほうを見てしまった!



すると私に近づいてきて、


「咲希、ジジイが人に奢るなんて滅多にねえことだ!甘えとけよ。」


と、目を細めて私の肩に手を添えてくれる。


「そういうことなら……。マリコさん!今日は有難うございました!また来ますね。」



と、言った次の瞬間……。



後ろからズッシリと何やら重さを感じた!



ん!?


なんか急に重くっ………!



すると私の背中から声が響いてきたっ!!


「んでジジイばっかなんだよ。今日の咲希はジジイばっか。つまんねぇ。」


「え!?」


霧島くんが私の後ろからのしかかってきた!!!



お、重っ!!



「あの、霧島くん?少しずつ体重が私にかかってきてるのですが…!?」


「さぁ…。知らね。」




えぇぇー!!?



気づくと霧島くんの両手が私の胸元でクロスして、
なぜか後ろから抱きしめられてる格好に!!



みみみ密着しすぎだよ!!!



「ちょっと待って!お店の中だから離し」


「離してほしければ約束してもらう。俺以外の男にむやみやたらに笑顔を振りまかないって。」


「へ?!いや、あの、笑わないのはちょっと無理が…」


「じゃあ離さねぇ。つーかもっとやる。」



え!?


なにを!??



霧島くんの手がかすかに下の方へ動いていく……。



ちょっ?!!



ダメだよ!!!




そそそそこは胸ッッ!!



「ひゃ…!」





その時。





スコオォーーーーン!!





マリコさんの放ったお盆が、霧島くんに直撃した……!


「咲希~、ごめんなさいね~!こんの “歩くセクハラ・クソエロガキ” がいちいち突っかかってきて面倒でしょ~!?今のうちに逃げちゃいなさいっ!!この後お友達と約束があるんでしょ?」


「えっと……。あの、じゃあ、お言葉に…甘えて……失礼シマス。」


すごすごとその場を立ち去ろうとするが、
お盆直撃をくらった霧島くんが気にかかって仕方ない。



だ、大丈夫かな?



凄い音がしたけど……。



「咲希!ハリアップ!!また襲われるわよ!!」


私はマリコさんに一礼すると、後ろ髪を引かれる思いで、ドアが開け放たれた玄関へと向かい、
そのまま外へ一歩出た……ときだった。


パシッと手を掴まれて、振り返ると額を赤くした霧島くんが立っていた!



「き、霧島くん!?」


「ちょっと!リッキー!アンタは性欲ダダ漏れ変態野郎なんだからこれ以上暴走せずに、サッサと仕事に戻んな!!じゃないと後で酷いよ?!!」


すると霧島くんから一気に怒りのオーラがみなぎってくるのを感じ、私はビクッと金縛りにあったように動かなくなってしまった!



冷や汗が背筋を伝う。



すると、霧島くんの口角が上がり、なぜか笑顔に。


え……あの、



目が笑ってない……



ですよね?



「俺は咲希を駅まで送るから、戻るまでの約15分間はてめぇで一人でやれよ。この、“のりオカマジジイ” !!!!」



そう吐き捨てると霧島くんは、私と一緒に歩き出してしまった……。



のりおかま??



それって……



もしかしてダジャレ?!



そこは突っ込まずにはいられなかった。
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