不良リーダーの懸命なる愛

恋心

「姉ちゃん!その足どうしたんだよ!?それに、腕とかすごいアザになってんじゃんか!!」



バイトから帰宅すると、弟が玄関まで来て迎えてくれたけど、私の姿を見て目を丸くしていた!


「あ、これ?ちょっと今日学校の体育で怪我しちゃったの!障害物競走でハードル使ってね、それで見事コケちゃったの!」


「まったく!姉ちゃんはあいかわらず運動しんけいがにぶいなぁー!」


「すいませんね!鈍い姉で!」



そんな憎まれ口をたたいていると、携帯が鳴った。





~♪





あ、電話だ!


「姉ちゃん、お母さんが夕飯作ってさっき、やきん(夜勤)にでたから!」


「うん、わかった!今電話きたから、後で食べるね。涼太はお風呂入ってきちゃいなさい。」


「はぁーーい。」




私は自分の部屋に入ると、電話に出た。



「もしもし?鳴瀬ですけど。」


『咲希。俺。』




!!!





「霧島くん!ど、どうしたの?きゅ、急に!」


うっかりしてた……!



着信の画面をちゃんと見ればよかったよ!!



名前を見るのを忘れて電話にでるなんて……。



『今、何してた…?』


「え!?あ、あの、ちょうどバイトから帰ってきて、今は自分の部屋にいます!」


『………そっか。』



あれ?なんか霧島くんの声が………。



「霧島くん?あの……どうかしたの??」


『え…?なんで?』


「その、なんだか元気が無いように聴こえたので。」



いつもの霧島くんらしい覇気ある声がない。



『ハハッ。気のせいだろ。んなコトねぇって!』


「そ、そう?なら、いいんだけど……。」



私の気のせい?



本当にそうなのかな。



『……咲希。』


「……え?あ、ハイ!なんでしょう!?」


考えこんでしまって反応が遅れてしまった……。


『今からさ、俺と電話で喋んねぇか?色んなこと。なんでもいいからさ。咲希と今、スゲー話したい気分だゎ!』




ドキ!




「は、はい!ぜひ!!私も霧島くんと色々話したいです!!」


『そっか。よかった。……夕飯食ったか?』


「あ、まだです。でも、後で…」


『ダメ。咲希は無理しすぎ。食べておいで?待ってるからさ。』




霧島くん……。



好き……。




自分でもどうしようもないくらいに……!



「霧島くん……わたし……、」


『ん?どうした?』


「っ!!……ううん!お腹空いちゃったなぁ~って!やっぱり食べてきますね!」


『ん。あ、便所も我慢せず、行っておいで?待ってるからさ!』




!!?




「もう!!何言ってるの!!?切りますから!!」


『ハハッ!じゃあまた後でな。』




ピッ。




あ、あ、危なかった~……!!



私、今の流れで霧島くんに “好きです” って無意識に言いそうになっちゃったよ!!


いくらなんでも唐突すぎでしょっ!!



しっかりしなきゃ、自分!!!



はぁ~とため息をつく。



でも……霧島くんと、


大好きな霧島くんと話せる………!!!



嬉しいな!!



ハッ!そうだ!!



早くご飯食べなきゃ!



霧島くんが待ってる!!


私は捻った足も忘れて、急いでリビングへと駆けてゆく。



急いで食べちゃお!


そして早く電話しなきゃっ!




パクパクとご飯を食べてると、ふと私は思った。



そういえば、霧島くん。


急に私と話したいなんてどうしちゃったんだろ?



学校でも会えたらいっぱい話せるのに。



でも、それでも、電話で話せるなんて嬉しいな…。




好きな人…だし。





お腹も心も満たされてゆく…。




それはどちらも温かかった。
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