突発性ヴァンパイア・ガール!
「僕もいるんだけどね」


亜美の後ろからひょっこり現れたのは、侑也だった。


「侑也!」


2人はそろって登校してきたようだ。


「うらら、ちょっといいかしら?」


亜美はそういうと私の腕を掴んで、教室前の廊下へと移動した。


いいかしら、と尋ねておいて私の返事を聞かないあたり、少し強引だと思う。


「なんだか元通りって感じだね!」


私が廊下から教室の中を見渡してそういうと、亜美と侑也は頷いた。


「でも不思議だね、噂もないみたいだけど」


私が首を傾げていると、侑也が微笑んだ。


「まぁ、全部亜美がやったことだもんね」


「え?」


すると亜美が気まずそうに言った。


「私がクラスのみんなを動かしたの。

私の話したことを信じるように、うららにすごく冷たく接するように。

でも今の私には吸血鬼の能力はないわ。

だからみんな元通りになったのよ」


「そうだったんだね」


へぇ、と思わず関心してしまった。


「あ、そういえば、なんで私、最後は吸血鬼にならずに終わったんだろう?

あの時、確かに声が聞こえたはずなのに」


これはいくら考えても分からないことだった。


声が聞こえるか、血の匂いを嗅ぐと、私は赤いフィルターのようなものがかかり思考が停止していた。


それなのに、最後の1回だけは自分の意志で吸血鬼化することを防げた。


あれは、一体…?


すると侑也が言った。


「ああ、あれはね、主人となる吸血鬼の声で吸血鬼化する場合、その吸血鬼のことを好きでないと吸血鬼化させることができないんだよ。

つまり、僕のことを好きじゃないうららは吸血鬼化しないってこと。

大体は見つめ合えば、僕たち吸血鬼は誰でも惚れさせることができるんだけどね。

でもその吸血鬼上に好きな人物がいる場合、吸血鬼化しないことがあるんだよ。

だから、そういうことなんじゃない?」


侑也はニコニコ笑っていた。


「そ、そういうことなんじゃないって、侑也、気づいていたの?」


私が慌てて尋ねると、侑也は相変わらずニコニコ笑っていた。


「一応、僕はうららの彼氏だったからね?」


気づいて当然でしょ、と言った。


「それから、うららに言いたいことがあるんだ」


すると2人ともバッと頭を下げた。

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