突発性ヴァンパイア・ガール!
なんでこんなに心臓の音は大きくなるのだろう。


私が好きなのは、侑也だ。


侑也が好きなんだ、私は。


脳裏に侑也の笑顔が映る。


あの優しさが。


あの微笑みが。


私は、好きだ。


だから…。


その時だった。


__奴ヲ倒セ__


低い、低い、声が聞こえた。


聞こえた、という表現が正しいのか分からない。


耳で聞いたというよりはむしろ、脳内に響いているような、そんな感じ。


__倒セ__



突如私の視界は赤く染まった。


まるでフィルターがかかったかのように、視界に映るものすべてが薄い赤に染まっていく。


__奴を倒せ__



思考は、停止した。


何も考えられない。


考えようとする気も起きない。


ただ誰の声なのかもわからないその声の通りに体が動く。


__息ノ根ヲ止メロ__


私の体は私の意志とは関係なく動き、私の手は吉崎君の首元を掴んだ。


「くっそ、離れろ…!」


吉崎君はベリリと私をはがして距離を取った。


薄い赤の視界の中で、吉崎君は眉間にしわを寄せて怪訝そうな顔をした。


「チッ、面倒なことになったな」


吉崎君は先ほどまで使っていた拳銃をしまうと、別の銃を取り出した。


鉛色の、なんだか平たい銃だ。


あんな銃、見たことない。


「仕方ねぇな」


そしてその銃口を私に向けた。


「目ぇ覚ませ」


吉崎君は私めがけて引き金を引いた。
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