現代のシンデレラになる方法


ひなたの体を起こして謝る。

「ごめん、リビングに戻ろう。脅かして悪かった」

ひなたは、俺に謝られて困った顔をしながら顔を横にふった。

ソファーに戻ってまたお互い向き合って座る。


「……もしそいつに初めてが奪われてたら、俺は一生そいつに嫉妬するとこだったんだぞ」

そう言うと、ひなたの目からついに涙が零れた。


「あーあ。今まで付き合ってきた相手の過去なんて、気にしたこともなかったのに」

ぽつりぽつりと泣くひなたに語りかけるように話す。


「……だけど、ひなたの初めてだけは全部俺がいいんだ」

そう言うと、ひなたがやっと俺の顔をちらっと見上げた。

少しでも俺の気持ちが伝わってくれてるといいけど。



「おいで、ひなた」

そう言うと、ひなたは戸惑いながら俺の横にちょこんと座った。

「そっちじゃなくて、こっち」

そう言って俺の膝の上に座らせる。

その途端、顔を染めて動揺するひなた。


「……ひなたができるようになるまで、俺はいつまででも待てるから」

そう言うと、余計に泣かせてしまった。

小さな頭に手を置いて撫でてやる。


「だからもう2度と他の男とやろうなんて思うな。あと、あの妹にこの手の相談をするのはやめろ」

そう言って笑うと、ひなたは再び、ごめんなさいと頭を下げた。

そして俺を見上げて、囁くような小さな声で言った。


「私のはじめては全部先生に……」

捧げます


最後までは声にならなかった。

だけど、口の動きで確かにそう読めた。


愛しいその存在をぎゅっと抱きしめる。

ひなたもそれに応えるように俺の背中に手を回した。





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