現代のシンデレラになる方法



廊下に出たところで、向こうから看護師が駆け寄ってくる。

「あー、もうどこに行ってたんですか!」

「な、なんだよ」

「病室にいないから、探しに来たんですよっ」

強気な口調の看護師にたじろぎながら、男は連行されていった。


「あ、あの、ありがとうございます」

そう事務員にお礼を言われ、これ以上厄介ごとに絡まれないようにその場を立ち去った。



「遅かったですね、IC色々聞かれたんですか?」

外科の病棟に戻ると、術前の話をしていた患者の受け持ち看護師が話しかけてきた。それに便乗するかのように2人の看護師が加わってくる。

「いや、ちょっと脳外の患者さんが騒いでてさ」

「えー、どうしたんですか?」

「入院のことで事務員の子と話してたみたいなんだけど、SWからちゃんと今後の話がいってなくて怒り出しちゃって」

「へーさすが、先生優しい。その子、助けてあげたんだ」

すると、同じデスクに座っていたナースも会話に入ってきた。

「もしかしてその子、ちょっと前髪長くて俯いて歩くような、暗い感じの子じゃありませんでした?」

「あぁ、言われてみればそんな感じだったかも」

こじんまりとした印象しかなかったが、確かに暗いような子だった気がする。

「あの子入退院調整の事務員でしょ?よく、そういうトラブル巻き込まれてるよねー。今日も朝っぱらから予約入院のことで、うちの師長に怒鳴られてたよ」

「可哀想だよねー、あたし絶対あんな仕事やってらんない」

好き勝手言うナース達。
そこへ師長がやって来ると、蜘蛛の子を散らすように、仕事、仕事と散って行った。

俺もそんな事務員の子を憐れんでばかりはいれない、午後から一件OPEが入ってるんだ。
パソコンのカルテから入れた指示の確認をしていく。





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