愛してるのに…
22
「ん……」

いつの間にか寝ていた俺。

時計を見ると夜の8時半を過ぎていた。

頭が痛い…

「よ!」

聞き慣れた声。

声のする方に目をやると

藤ヶ谷が見えた気がした。

きっと幻覚でも見てるんだろうと思って
どうせ幻覚なら抱きついてやれ!って
思ったから抱きついてみた。

ギュッ

 
「きっ、北山!?//」

「俺、きっと藤ヶ谷が好きすぎて
幻覚見てるんだなー」

ん?幻覚ならこんな感触はないよな。
確かに俺は今抱きしめている。

「幻覚?ちゃんといるけど?
好き?ん?」

あたふたする藤ヶ谷。
このあわて方はホンモノだ。

「藤…ヶ谷…?」

「あぁ。」

「どうやって入ってきたの?」

「鍵、あいてたよ?」

「そっか。」

「ちゃんと戸締まりしなよ」

……………………………。

2人のあいだに沈黙が流れる。

「あ!ごめ」

抱きしめたままなことに気がついて
離れようとした。

「このままでいい」

そう言ってギュッと俺を抱きしめた。

「えっ//」

「俺、北山のこと好きだよ。
メンバーとしてじゃなくて恋人として」

「藤ヶ谷……」

溢れ出る涙を堪えることなんて
できるはずがなくて泣く俺を
藤ヶ谷が優しく包み込むように
抱きしめてくれた。

「なぁ、北山」

「ん?なに?」

チュッ…

藤ヶ谷から突然のキス。

驚いて涙が止まらなくて。

嬉しくて嬉しくて。

ずっと藤ヶ谷のことで辛くて泣いてたけど
この涙は違うよ。

「藤ヶ谷、愛してる♡」
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