赤い電車のあなたへ



「もちろん! ちゃんと味あわなきゃ罰が当たる」


龍治さんはサンドイッチを高々と掲げて、それをパクリと口にした。


「美樹に望んでも10割無理だし。手作りはやっぱりありがたいよ」


なんだかしみじみとした口調に、美樹さんはそんなにすごい人かと想像が膨らむ。


見せてくれた写真から想像するに、かなり活発で気が強い人っぽかったけど。あくまでもわたしの印象だし。


「ま、確かに。美樹の料理の腕は凄まじいよな」


龍太さんがそう告げた意味は、上手と下手どちらなんだろう?


「ああ……カレーを作るはずが、美樹が作ればなぜか真っ青なみそ汁になったりするのはなぜだろうな?」


龍治さんの恐怖に満ちた顔が、その全てを語ってた。


第一……青いみそ汁って。どんなみそを使えばそんな色になるのやら。


わたしは想像の域を越えた美樹さんに、ある意味興味を抱いた。


どうやら美樹さんが料理を作れば、ハンバーグから紫色のチキンライスと言う風に、途中で変質して別物になるみたいで。


それはいったい何が起きているのかしら? と少しだけ気になった。


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