赤い電車のあなたへ
7月~龍太の想い


わたしはポカンとしてやたら目を瞬かせた。龍治さんの言ってる意味……が理解できない。


“責任を取って龍太と付き合ってやって”


付き合うのは龍太さんが入院して、その付き添いにってこと?それとも龍太さんのお仕事を手伝えって意味かな。


どちらにせよ、わたしに異論はない。今は夏休みだから構わないし、むしろ龍太さんと一緒にいられて幸せだ。


不謹慎だけど、わたしは龍太さんとの繋がりが欲しくて頷いた。


「はい、わかりました。……でもあの。龍太さんのお仕事は何をしているんですか? わたしにもできるでしょうか?
夏休みが終わったら高校はどうしたら……」


わたしが疑問を口にすると、龍治さんは慌てて止めてきた。


「す、ストップ! なんでいきなりそんな話になるかわかんないけどね。俺が言ってるのは龍太の恋人になってあげて、って意味」


「え……」


龍太さんの、恋人?


「誰が誰の恋人にですか?」


うまく飲み込めなくて訊き返すと、龍治さんは辛抱強く教えてくれた。


「鞠ちゃんが龍太の恋人に、だよ。龍太のやつずっとずっと独りでさ……良子とのことは頭で解って一緒にいたけど。やっぱつらそうな顔してた。
かなり深く傷ついてるんだと思う。

けどさ、あいつ君の事を話すときはすげー優しい顔になるんだよ。
少なくとも、龍太は君に何か感じてる。
だから、良かったら龍太の傷を癒やしてほしいんだ。
勝手な言い分だけど……あいつ見てられなくてさ」


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