帝国湯へ、いらっしゃい

ゴンちゃんと駅で会うなんて珍しい


「何?どこかに行くの?」

「お前を待ってたんだ」




「今日、銭湯くるか分からなかったし
家も知らねえし、電話も知らねえから」

「どうかした?」



なん、だ?ゴンちゃんの顔なんでこんなに


「とりあえず、歩こうか」

「ん…」



どうしたんだろ



しばらく、二人で黙って歩いてた

ゴンちゃんが口を開くまで何か聞いてはいけない気がした




「あのな、龍ちゃん」

「……うん」


「あの、な……」

……………



「タケ、死んじゃった」

「………え…………」


何を言っているのかが、分からない


「死んじゃったんだ」


誰が?


「いなくなっちゃったよ」


なんで?


「どうしよう」

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