帝国湯へ、いらっしゃい
戦法

土曜の午前。それも結構な早起き


向かった先にはいくつもの白いテント

お目当ての人物を探す


「琴ちゃん」

「来たね」


周りの人に紹介され
お手伝いの内容を聞かされる


「俺、作ったことねえ」

「その辺の人に聞けば何とかなるよ」


デカい鉄板に
大量の肉、キャベツ、麺


「食うのは好きなんだけどな」

「焼きそばくらい作れなくてどうするのさ」



どんだけ、作るんだろう。材料見ただけで萎える


「あたしはソースせんべいの所にいるから。じゃね」

後姿の琴ちゃんと目の前の材料を再びみて、「ふぅ」と息をついた



近くのおばちゃんと一緒にひたすら作るんだが

「これ、どのくらい作るんですか?」

「材料がなくなるまで」


マジですか


「早くしないと10時にはドッと人が来るよ。サッサと手を動かす!」

「はい」



これ、結構な重労働だな
味とかどうでもよくなってきた

ひたすら混ぜ続け、焼き続ける

作ったらパックに詰めて割り箸を添えて


「ちなみに、いくらで売るんですか?」

「150円」


「安っ!!」



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