空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

もう校舎の中は薄暗い。


どの教室にも、誰もいない。


シンと静かで、暗くて、そして孤独で。


薄闇に包まれた廊下を、追い立てられるように急ぎ足で歩いた。


心細さと不安が胸にこみ上げてくる。


信じていることを失う時。


こんなにも、足元が不安定になってしまうの?


自分を包む周りの全てが、不確かで、怖い。


追われるように、あたしは大急ぎで家に帰った。


玄関の中に入った時、少しだけ安心できたけど。


それでも、心が落ち着きを取り戻すことはなかった。


急いで向かった自分の部屋で、すがるように指輪に向かって大樹に話しかける。


どうしよう大樹。

あたし、どうすればいいの?


あの中庭が無くなってしまうんだよ。


祐輔から、告白されちゃったんだよ。


あたし、これからどうするべきなの?


明日から祐輔に、どんな態度をとればいいの?


お願い助けて。

答えを教えてよ。


ずっと守り続けるって約束してくれたでしょ?


なのに・・・・・・


なんで、何も答えてくれないの・・・?


大樹。ねぇ、大樹ぃ・・・・・・。


指輪は、ただ赤い色に輝くばかり。


大樹の答えは、どこからも聞こえてこなかった。

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