空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
心臓、痛いのかな? 苦しいのかな?
あたしなんて、たまに風邪ひいて熱出すだけでも大変なのに。
心臓なんて重要な器官が病気に侵されていたら、どんなに辛いだろう。
それを大樹は、生まれた時からずっと背負い続けているんだ。
こうして枕元で、ただ心配する事しかできない自分がもどかしい。
勇気づけてあげたい。ほんの少しでも。
「大樹、しゃべらなくていいから黙って聞いて。あたしね・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「大樹のこと、本当にすごい男だって思ってるよ」
クラス中でも。学校中でも。
どこを探しても、大樹ほどすごい男はいない。強い男はいない。
「大樹は、世界で一番すごくて強い男だよ」
荒い息を吐き、大樹は横たわりながらあたしを見上げる。
そして苦しそうな頬を柔らかく緩めて、頑張ってあたしに笑顔を見せてくれた。
いつの間にか・・・・・・
あたし達の手は白いシーツの上で、指と指をふわりと絡み合わせていた。
不思議なくらいあたしの指先は、敏感に大樹の存在を感じてる。
その感覚は痺れるほど熱かった。
あたしの、ドキドキするこの胸と同じくらいに・・・・・・。