空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
授業が終わって放課後。
あたしはいつも通り、急いで帰り支度を始める。
教室を出ようとした時、由依が笑顔で話しかけてきた。
「ねー佳那、今日これからヒマ?」
「どうかしたの?」
「みんなで新しいカフェに行くんだ。たまには佳那も一緒にどう?」
「ありがと。でも予定があるから、ごめんね」
「そっか。残念」
また明日、と手を振って挨拶した。
手を振り返してくれる由依の姿越しに、祐輔の姿が見える。
祐輔はあたしのことを、ジッと見つめていた。
あたしは祐輔にも笑顔で手を振った。
また明日。部活、がんばってね。
そして、急ぎ足で自転車置き場へと向かう。
さあ、行こう。大樹。
いつもの、あの場所へ。
自転車のペダルを勢いよく踏み、校門を出る。
前髪をそよがす風は、まだ少し冷たい。
頬や鼻の頭がキュッと冷えた。
それでもあたしは、気分爽快だった。
風、つめたいねー。大樹!