人魚と恋

妹との対面




それから数週間が経ってしまった。

俺はすぐにでもゆうさんの学校に行きたかったけど、体の調子が悪かったのとテストだったのと…少し落ち着いて考えたかったから。


ゆうさんに送ったメールは返って来たり来なかったり、それもだんだん返ってくる数が減ってきた。

そこで、前制服借りた子にこれが最後と約束してまた借り、前と同じように妹さんとゆうさんが話す教室でゆうさんを待った。


周りには誰もいない。この前と同じだ。けど今回は妹さんと対面するぞ、と気合いを入れた。

それから1時間くらいして、ゆうさんが来た。


「あれ、航くん?
びっくりしちゃったあ、誰がいるのかと思ったよ〜」

やっぱりメールは見てないか、忘れちゃったようだ。

「ゆうさんに会いたかったし、ゆうさんの大好きな妹さんと話したくって来ちゃいました。」

ゆうさんはまた妖しく笑ってじゃあ2人で話す?と聞いてきた。

「え、いやいや…ゆうさんいないと、初めての女の子ととか俺無理ですよ」

何それ〜と言いながらゆうさんはおれの近くの席に座る。

あれ、妹さんは?



ゆうさんの方を見るとゆうさんが不思議そうな顔で俺を見る。

「どうしたの?私に遠慮しないで話していいよ?」

ほら、と言ってゆうさんは教室の中の、俺たちが座った席より少し離れたところ、暗いところを指差した。
俺たち以外に、教室には誰もいなかった。この時までは。


妹さんはそこにいた。写真の通りの妹さんが。
妹さんはさっと俺たちの方に来て近くに座ると俺に話しかけた。

「初めまして。優輝お姉ちゃんの妹の優美って言います。航くん、だよね?
お姉ちゃんからよく聞かされていたから、会えてすごく嬉しい。」



会ってみると、妹さん、ゆうみさんは普通の女の子だった。俺が心配したようなおかしさはほとんどなくて、むしろこんな普通の子がなんでクラスでうまくいかないのかよく分からなかった。








ゆうみさんとわかれて、ゆうさんと帰る途中、ゆうさんが俺に聞いてきた。

「あの子、どうだった?」

< 55 / 68 >

この作品をシェア

pagetop