薬品と恋心

「そんな…私こんなところで暮らしていけるの…?」



とてつもない不安が襲いかかってくるが、なんとか自分を奮い立たせる。



(いや、屋敷の外に出なければ大丈夫!!)



そう思ったのもつかの間、それは避けられないことなのだと思いしる。


叔父の屋敷は今まで暮らしていたところに比べてはるかに小さく、そしてみすぼらしかった。


内部の壁は薄汚れており、庭も手入れが十分にほどこされてはいない。到底商売がうまくいっているようには思えない。


使用人はふたりほどしかおらず、なんとか屋敷を維持しているといった様子だったため、ティアも屋敷の維持管理を手伝わされることとなった。


したこともない掃除や洗濯、料理に買い物を使用人たちに教えてもらいながらこなした。


白くてケガひとつなかったティアの手は次第に荒れていった。


< 26 / 421 >

この作品をシェア

pagetop