薬品と恋心

採取人の仕事は繊細さが伴う。


それが人におおっぴらに言えない薬草なら、なおさらだ。


仕事前のティアを煩わせることはしたくなかった。


自分の話はティアの仕事が終わってからでもできる。


あとで話を聞いてくれるか尋ねると、ティアは困った顔をしたあと、いきなりキスをしてきた。


あまりのことにしばらくその場から動けず、戸惑っているうちにティアは行ってしまった。



ーあのキスはどういうキスだったのだろうか?



ジーニアスはベッドに腰掛け、窓の外を見た。


日は傾き、夜の帳が下りようとしている。


隣の部屋のティアはまだ帰ってきた様子はない。



< 341 / 421 >

この作品をシェア

pagetop