薬品と恋心
外はいつしか闇に包まれ、月明かりが町を照らし始めていた。
ジーニアスは夜空に浮かんだ月を見つめる。
ーティア。
ー帰ってきたらキスの理由を聞かせて欲しい。
もしそれが恋愛感情からくるものであるならば。
ー今度こそティアを手放さない。
ジーニアスは右手のひらに視線を向けた。
ー自分はもうあの時のような無力な子供ではない。
ー今度こそティアを守ってみせる。
ジーニアスはぐっとこぶしを握りしめた。
しかし、その日ティアが宿に戻ってくることはなかった。