薬品と恋心
カチャリと軽い音をたてて鍵がはずれ、ドアは簡単に開いた。
部屋はこざっぱりとしており、荷物はなく、誰かがそこにいた形跡もない。
ただひとつ、他の部屋と違うのは。
部屋に置かれた簡素な机の上に何かが書かれた紙があることだ。
ジーニアスは机に向かい、その紙を手に取った。
それを目にしたジーニアスの顔が苦悩に歪む。
「…どうして」
紙を握る手が震えた。
その紙にはティアの字で、
『さよなら。あなたの幸せを遠くから願っています』
ーと、書かれていた。