薬品と恋心
胸を焦がすような痛みと、あせりが足を前へと突き動かす。
どこにいるかなんてわからない。あてなんてない。
ただティアを求めて走り続けた。
ーティア。
ーどこにいるんだ。
あのキスがどんな意味だったかなんてもう考えない。
ーだけど。
たとえ自分のことが好きでなくてもティアをこの手に再び抱けるならばそれでいい、なんて言うつもりはない。
ー自分にはティアが必要だ。
採取人としてではなく、側にいてほしい。
ーなんとしてでもティアを取り戻す。
ー絶対に諦めない。
決意の光がその瞳に強く表れていた。