躊躇いのキス
「でもビックリだよ……。
あんなに仲がよかったのに、雄介に他に好きな人がいたとか言ってさ……」
「あ……」
残念そうにつぶやく智世に、そういえば……、と思い出した。
智世には、雄介と別れた直後に電話でその報告をしていて、
別れた原因は、雄介が他に好きな人が出来たから、と話していた。
その時のあたしも、確かにそう思っていたし、そのまま智世に話していたけど、その真相は違っていて……。
「え?違ったっけ?」
あたしの反応を見て、智世が首をかしげた。
正直、話そうか悩んだ。
こんな話をしたら、智世に呆れられるかもしれない。
だけど……
「……何か別の理由があるんだ?」
「………うん…」
いつもあたしと雄介の近くに一番いてくれた智世だからこそ、正直に話そうと思った。
「実は、ね………」