【短編】君の世界は
君の世界は
あたり一面に広がる、目の覚めるような緑の海。


雲の隙間から、レースのカーテンを引いたようにやわらかに降り注ぐ暖かい光が、その海の水面をつややかに、より生き生きと見せていた。


その一画、僕の目の前に咲き誇る真っ白な花は美しく、

あまりにも美しく、

少しも汚れることを知らない。


それまでの生活ではほとんど触れることのなかった、自然の匂い。


伸びた髪を踊らせ、服の裾を遊ばせ、優しく頬をなでるそよ風。


さわさわと揺れる草や花たちの奏でる音は、まるで彼女の子守唄のようだった。


心地よいそれらを遠くに感じながら、僕はゆらゆらとぬるま湯の中を漂うように、あの日にタイムスリップしていく。


.
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

さよならブルー

総文字数/5,205

恋愛(その他)16ページ

表紙を見る
【短編】ドーナツ

総文字数/3,140

恋愛(その他)8ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop