独り言<あるOLの一日>
会社へ

おはようございます

まだシャッターの閉まった地下街を歩いて階段を上ると地上に出る。

大通りの交差点には一体どこから湧いて出てくるのか‥

恐ろしい数の人波が、整然と動いている。

その中を真奈美も会社へ急ぐ。

みんな無言だ。

その中には、「今日からまた一週間が始まる!」と意気込んでいるヒトもいるだろうし、

「あ~あ、また一週間が始まるよ。げっそり‥」というヒトもいるのだろう。

真奈美は、そのどちらでもなく、余程の心配事でもない限り、あまり何も考えず会社に向かう。

もし途中で何かを考えだしたらその場で足がすくんでしまって、二度とそこから動けなくなるような気がするのだ。

とにかく生活のために会社に向かう

‥それだけだ。

向かう先は、新宿駅南口から徒歩10分程のところにある築30年の10階建ビル。

改装はしているが、お洒落なオフィスとは程遠い、地味な職場である。

朝は裏口にまわり出入口の守衛さんに挨拶しながら建物に入り、更衣室へ直行する。
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